実は科学だった! 古典 ブルーブラック
前回、プラチナのカーボンブラックを紹介しましたが、インクの泉は涸れることがございません。今回は昔ながらの古典インクをご紹介しましょう。こちらです。
「ブルーブラック」でございます。私の知ると限りブルーブラック無しにインクを語ることは出来ないでしょう。
ブルーブラックとは
ブルーブラックは良く「青色と黒色を混ぜたインク」と言われることがあります。残念ですがそうではないのです。ブルーブラックは始め書いたときは青色のはっきりした色なのですが、時間が経つと黒っぽくなることで命名されました。私は昔ブルーブラックのインクで授業のノートをとって幾日か後にそのノートを見返すということをしていました。本当に黒色になるのか試して見たかったのです。ですが、それほど色は変わっておりませんでした。後から知ったことなのですが、ブルーブラックはそんなにすぐには変化しないそうです。子供ながら、疑問に思った私は祖父がブルーブラックで書いたノートを見せてもらいその筆跡は確かに黒っぽくなっていました。祖父が何年か前に書いたノートだったと思います。おぼろげな記憶の中から取り出しました。
仕組み
プラチナホームページより(一部抜粋)
顔料インクを万年筆に使用することが技術的に困難であった当時、青の染料とタンニン酸第一鉄を配合し、筆記後空気中で酸化されタンニン酸第一鉄となる のがこのブルーブラックです。難しいことは割愛しますが、このタンニン酸第一鉄はインクの中に特別な方法で配合しています。
急に難しくなりました。化学用語がずらずらとあります。理系出身の私が解説しましょう。
タンニンは渋味成分です。どんぐりやぶどうの皮に多く含まれています。タンニン酸ということは水素イオンを出す、つまり酸性なのです。これに鉄イオンがくっつく。タンニン酸性の化学式はC76H52O46 です。分子です。それも巨大な有機化合物の。これは鎖イオンですね。
要はインクに溶けた鉄が空気に晒されることになります。それは鉄が酸化する、錆びることとなります。これがブルーブラックが時が経つと黒くなる理由です。
このようなインク没頭食子酸インクと言われます。
ブルーブラックは水にも強く、保存性が高い(インクに鉄が入っているから当たり前といえばそうですが…)ので昔からインクの代表といえばブルーブラックでした。もっとも昔はつけペンが主流でしたが。ですが先ほど述べたように、このインクは鉄をも溶かしてしまう程酸性が強いのです。だからペン先(ニブ)が金以外の、鉄などでの金属で出来ていると、インクに溶かされてしまいます。ペン内部も要注意です。これに対する対策は一つです。毎日ペンを使って文字を書くことです。文字を書くことで、ペンにたまった濃いインクが流されてペン先が腐食さてしまうことを防ぎます。それから金を使ったペン以外には入れないようにすることです。最近は1万円程度でも金ペンが買えるので安心です。金ペンは書き味が柔らかく、紙にしっとりなじみ書くことの楽しさを教えてくれますので1本は持っておいても良いと思います。
プラチナのブルーブラック。国内ではクラシックのブルーブラックはここだけです。
金ペンの代表格。
10000円金ペンの代表